アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者

ファンタジー世界に存在している株式会社

坂木氏原作の小説がアニメ化した作品はまだある、こちらの作品は昨年秋期にて放送され、その独特すぎる世界観で話題を呼んだ『アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者』というものだ。タイトルの通り、萌えという漢字を使用しているだけでどのような内容なのかが創造しやすいかもしれないが、その反面でこちらの作品はライトノベルという枠において定番中の定番となるテーマである、ファンタジー世界において明らかに異質な存在となるものが確固として存在している。その存在とは『株式会社が異世界に存在している』ということだ、ドラゴンやらが平然と登場する中で現代となる異世界から連れてこられた主人公が何故か株式会社の代表として活動していくという、あまりにも突拍子もない話になっている。

意外性という点においては他の作品に負けていない存在感をかもし出していることだけは認める事は出来る、会社と呼ぶべき存在はファンタジーの世界においてもあるだろう。ただ現代における株式会社となればさすがに話は違ってくる。ここまでリアリティを感じさせるファンタジーも中々ないと思うが、それだけありきたりなテーマ性では昨今の小説として売り出すのは弱くなってしまっているのかもしれない。それこそファンタジーともなれば代表作は何かと聞かれたら、ライトノベル以外の作品を上げる人が多数出てきてもおかしくはない。世界的に有名なハリーポッターシリーズや指輪物語といったものをあげられたら、さすがに日本のライトノベル作家が作り出した作品では存在感は希薄になってしまう。

それだけ飽和状態になりつつある小説の題材として用いられているファンタジーにおいて、日本で活動するにしても意外性やそれまで考えも付かなかったようなアイディアが求められているのかもしれない。しかしそれが読者に受け入れられるかは別の話だ。どんなに設定が斬新であったとしても、それを上手に使いこなせるだけの技量がなければ手に余ってしまう。そうしたことを全部含めて考えれば、このファンタジー世界で株式会社を立ち上げたらどうなるかを楽しむのもこの作品の1つの見方といえる。

何を目的とした会社なのか

詳しくは後ほど語るとして、ひょんなことから現代日本から異世界へと連れてこられた主人公は訳が分からないまま、最初の内は代表として異世界初の株式会社を立ち上げていく。そうなれば会社としてどんなことを展開して行くのかだが、もちろん通常考えられるような当たり前な商取引を行うための企業ではない。そこはやはりライトノベル作品というべきか、漫画などを扱った会社を立ち上げて文化的交流を図ろうといった意図として、主人交は自身が愛するオタク文化を異世界の人々に熱く語り聞かせていくことになるのが、大まかな主題だ。

ファンタジーの世界にまで来てオタク文化、そして萌えと呼称される存在が当然のように存在しているファンタジーの中で、漫画などの二次元作品を商品として取り扱っていくというのは、中々発想として考えるとあまり辿り着くとは思えない道筋だ。こちらの原作を執筆している榊氏も、構成を考えている段階においてファンタジーの中でコレがあったらおかしいだろうと、そしてその会社が取扱っているのが、明らかに不釣合いすぎるだろうといった連鎖的な考えを繰り返したことによって、こちらの作品は完成したという。

主人公は一般的な人々が抱いているような典型的なオタク像に当てはまっているような人物だが、そんな彼がさらに異世界でオタク文化を広めて行こうというのだから、見ている側としてもそんなことを広める前にもっと違うことをしたら利益も上がるのではないだろうかと思ってしまうのは、決して気のせいではないだろう。

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日本政府が協力しています

異世界で株式会社を立ち上げること自体が異色なのだが、そもそも未知なる世界で株式会社などといった文化が存在しているのかが非常に疑問に思うところでもある。どうしてそんな企業という考え方を持っているのかというと、その仕掛けとして主人公は元々現代で就職をしようととある企業にて面接を受けに行ったことから物語は始まる。コレまで引きこもりとして部屋の中で包まっていたが、両親の説得によってようやく自立するための第一歩として就職活動を始めた矢先に異世界につれていかれてオタク文化を広めるための株式会社を創立したというのが顛末だ。

しかし会社を立ち上げるというのは簡単なことではない、それまで引きこもりだった主人公が企業の取締役の一人として運営に参加することが出来たのかは、そもそも会社の資金提供を行っているのが日本政府が協力しているからだ。この世界では誰もが知るところではないが、日本政府と異世界の国が既に交流を交わしているという。ファンタジックすぎるだろうと内心思ってしまうが、文化的な交流を目的とした内容だからこそ、好意的に受け取ることが出来るのかもしれない。それこそ利害関係を結ぶといった現実的な関係だった場合には、どうしても現実味が強すぎるだろうとそんな気持ちに駆られてしまう。

詳細な設定をつけることを得意としている榊氏だからこその発想なのかもしれない、結果として文庫も文化的交流を題材に萌えとコミカルなストーリー性で、屁理屈抜きで読む事が出来る。

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